とあるお勧め本リストで、石垣りんさんを知り、読んでみた。
なぜ読んでみたくなったかというと、
『家族のために定年まで銀行で働いた。沖縄、女、仕事をうたった詩にのけぞった。』という紹介文にとても興味をひかれたから。
恐らく私自身、職場に色々思うことがあっても、子の独立までは辞めることは考えにくいという今の状況があって、
どうしようもない事情に縛られつつも書いている女性の本にきっと勇気をもらえるだろうと思ったから。
読んでみて、実際にそうだった。
家(家族)に縛られていた彼女。
わかりにくい表現は一切なくて、素直な彼女の心情が綴られていて、
切り取られた日常の貧しさや家族のどうしようもなさの断片に胸がぎゅっとなる。
毅然としている彼女を思う。
戦死した職場の同僚への詩や市井の人々や世の子供たちに向ける(彼女自身は生涯独身だったそう)詩はとても柔らかく暖かい。
愛し愛されたいというセンチメンタルなものが胸に広がる。
私も生き抜こうと、心の支えを見つけた気持ちだ。