先週に引き続き「がん」についての本を読んだ。
「がん」になるのは避けられない運命ではないけれど、中年以降のヒトの身体のなかには毎日多くのがん細胞が生まれては消えていっているそうだ。
多くの細胞のなかにエラーを起こす細胞が現れるのは、多細胞生物という進化した生き物の宿命で、もちろん人間も例外ではない。
この本は、進化の過程でなぜがんが生み出されるのか、現在「がん」についてわかっていること、人類の「がん」についての取り組みの歴史、治療の現状、治療薬の話、そしてどう向き合っていけばいいのかをわかりやすく語ってくれている。
癌を手術などで完全に取り除くこと、根治ができないのならば、抗がん剤でがんを一気にやっつけようとしても、結局は薬に耐性のあるがん細胞が出現してしまう。がんをやっつけるのではなく、耐性を持ったがん細胞が増えすぎないようにコントロールするという考え方について教えられた。
そうすれば、薬の一回の使用量が減らすことが出来、ひどい副作用にあうことも減るそうだ。
「生きることとがんになることというのは、表裏一体である。しかし、人間は学んだことを次に生かすことが出来る。」というところ、好きだ。
立花隆さんのがん 生と死の謎に挑む (文春文庫)の本の第一章の最後の文章
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生命がこの世界に産まれて何十億年もたちますが、ずっとすべての生命はつながり合ってここまできたのです。その果てに、我々は今、ここにこうして存在しているわけです。
地球上のすべての生命体が、一つの遺伝子ファミリーをなしているという事実それ自体が、そのことの何よりの証明だろうと思います。そして、がん患者のゲノムもまた、地球上の全生命体遺伝子ファミリーの一部をなすものであります。
ヒトとがんとの正しい関係は、永遠の敵対関係をつづけることにあるのではなく、共存と共生をめざすことにしかないだろう、ということの真の意味もそこにあるといえるのではないでしょうか。
そして、--省略---(死の間際、瞬間に)個の生命連続体から「ありがとう」の一語が発されると、全生命連続体と個の生命連続体が無理なく自然につながるということです。個の死はそのような連結を実現する意味を持つということです。
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この文章と同じことが上記の本でも語られている。
「ありがとう」という気持ちで死ねるといいなと思いました。
そのためには、日々の「ありがとう」の気持ちも大事にしていこう。
ブログを書けることにも感謝します。